新年おめでとうございます。
今年も美味しい鮭を、お届けしてまいります。
一年の計は元旦にあり…と申しますので、
当店も面白いことを始めてみます。
題して「鮭のおにぎり100品連打」!
きっかけは、レンコンです。
昨年師走、鮭をお買い求めになったお客様が、
「鮭が美味かったら、レンコンを送ってやっぺ」と一言。
一週間後に、霞ヶ浦から宅配便が届きました。
開ければ立派なレンコンがゴロンゴロン。
訊ねると、レンコン農家を営んでおられるとのこと。
“味は日本一”との言葉通り、
煮てもうまい、揚げてもうまい。
おせちの酢蓮に!と思ったところで、ひらめきました。
酢飯に、真白なレンコンと、真紅の鮭を、
合わせたらさぞ、旨かろう。
私どもの昼飯は、おにぎりに鮭と決まっておりますから、
そこに、酢蓮の角切りをトッピング。
お正月ならではの紅白の彩りに、爽やかな味わい、
シャキッとした歯ごたえで、
一同「旨い!」
これをきっかけに、一年間で、鮭おにぎり100品、作ってみることにしました。
レンコンだけに新年早々「こりゃ見通しが良いわい」と。
本年もどうぞご贔屓に、よろしくお願いいたします。
市場の一角に大きなイチョウの木があり、秋に銀杏を拾います。
あの特有な匂いがしてきたら、休みの日に一粒づつ拾い集めるのです。
道に敷き詰められた黄金色の落ち葉は斜陽を受けて輝き、
店々は、まもなく来る師走に向けて、助走をはじめる時季でもあります。
銀杏は暮れまで埋めておいて、新年になって思い出したように取り出します。
きれいに果肉を取り除き、煎って殻を剥いて、さらに薄皮を剥いて、
なかなか手間がかかる作業です。
そのかいあって、翡翠色のツルッとした実がお皿にいっぱいになると、
「さあ、何を作ろうかな?」
中華風に、スープでもち米を炊き、
お正月の年取り魚である荒巻鮭の、残った一切れを角に切って、
合わせると、中華風のおにぎりが出来上がり。
鮭の紅と銀杏の緑があいまってほっこりかわいいヒトサラに、皆の手が伸びます。
近年、鮭は中華料理にも多彩に使われています。
まもなく、中国最大の祝祭「春節」とあって、
休暇を日本で過ごす中国の方々の姿が目立ってきました。
そのパワフルな買いっぷりに期待して、
築地にも、牛肉の串焼き、ドンコ、干貝柱などが並び始めます。
ここは、商いの街。
来街されるお客様に呼応し、市場も日々変わっていきます。
昨年の冬至に、柚子を白味噌に漬けました。
味噌のプラスチック容器に、丸ごと1ケ、柚子をグググと押し込むだけで、
ひと月経った今、果肉にじっくり味噌が染み込んで、食べどきです。
皮を刻んで鍋に、うどんに、ふろふき大根に。
ひと手間加えて深みが出る、重宝な薬味です。
さて、鮭おにぎりの場合は、もうひと手間かけます。
柚子を漬けた味噌大さじ1に、紅鮭一切れを漬けます。
2日も漬けたら、こんがり焼いてほぐし、
刻んだゆず味噌の皮とともにご飯にまぶして、おにぎりに。
ゆず味噌を溶いたあったかい味噌汁と。
寒さも底、立春が待たれる市場で、心温まる朝飯のひとときです。
小分けして、使い切らずに、そのまま忘れていたりしませんか?
そんなときは、鮭は焼きほぐして、輪切りしたタラコを加え、小鍋で軽く炒り混ぜているうちに、いい感じにほぐれて絡みます。
ちなみにたらこの皮は、炒っているうちに自然にはじけて混ざるので、取り除く必要はないです。
あっという間に、ツブツブ鮭フレークの出来上がり!
ご飯にあえて、おにぎりに。
噛みしめると、たらこがプッチン、鮭がジュワ〜ッ!
春一番が吹きそうな今朝の一品です。
戴き物の節分の豆の器に、<“春夏冬二升五合”と書いて“商いますます繁盛”と読みます>と書いてありました。
なんだろう?
3日後に読解しました。
(答えは文末*)
さて、節分も過ぎて、鬼打ち豆が余っていたら「ご飯に炊き込めば良い」と教えてくれたのは、斜め前の豆屋、山本商店さんです。
お米を研いだら、鬼打ち豆をパラパラと加えて、少し多めの水で炊き、炊きあがりに、超辛口紅鮭の焼きほぐしをさっくり混ぜ合わせます。
豆の甘みと鮭の旨味が、なかなかの相性です!
*春夏冬=秋ない=商い、ますます=升升=二升、五合=半升=繁盛
このところ夜明け頃には気温が1℃になり、かじかむ手で荷を作る日々。
八百屋の店先にはフキノトウがずらり。
大きいの、小さいの、蕾んでいるの、開いているの…。
「この時季、板前さんがチョイチョイ小さなサイズを買っていってね」
という関根商店のおかみさんの話にのって、思わず買ってしまった1パック。
天ぷらにして、天つゆをサッとまぶして、優しい味の時鮭とおにぎりに。
天かすと鮭は、おにぎりに握ると、とても相性が良いので、天むすなら尚のこと。
噛み締めた瞬間のほろ苦さは、早春の味。まだ開く前の蕾に凝縮した、命の力強さを感させられます。
彩りも鮮やかなので、春を先取りしたい日に、お試しください。
ワカメ収穫目前の、宮城県牡鹿半島小渕浜を訪ねました。
行く道すがら、石巻からの海岸沿いに防潮堤が建ち始めていて、時が経つのを実感。
浜では、極寒の海に潜る漁師さんのウエットスーツが格段に進歩していることに驚いたり、温暖化で海域の魚種が変わりつつあることを学んだり。
風の強さ、海の色、魚を獲る人の気持ち…漁の現場で見聞きすることは、我々が日々売る魚の背景で、獲る人との交流を大切に思います。
めかぶはサッと熱湯でゆがいて緑色になったら引き上げてトントンと刻み、
酢醤油を加えてかきまぜて、ご飯にかけて食べます。
ワカメは塩蔵したものを水に戻して固く絞り、鮭とともにさっくりご飯に混ぜて、おむすびにします。
鮭は村上の塩引きが味わい深く、合うように思います。
八百屋さんの店先に並ぶ花わさびは、白い花が可憐で、春を告げる花束のよう。
板前さんに訊くと、塩で揉んで辛味を引き出し、サッと湯通しして醤油に漬けておく。
あるいは、「甘酢で漬けると、茎がほんのりピンク色になってカワイイでしょ」と、藤本商店のおかみさん。
今回は、甘酢漬けをよく絞ってみじん切りにして、紅鮭とさっくりご飯に混ぜて、おにぎりに。
ほどよい甘さと辛味が絶妙な、大人っぽいおにぎりになりました。
南部鼻曲り鮭っていうのは、独特の味わいがあります。
当店で入荷しているのは、岩手県大槌の産。
ていねいに塩漬けし、その塩を適度に抜いてから寒風に干
同じ岩手産の黒千石豆と合わせて、おにぎりにしてみまし
豆屋の三栄さんに「ご飯と炊き合わせるなら…」と薦めら
お赤飯のように、ご飯が薄赤色に染まっているではありま
にわかに豆類に興味がわいてきました。
一雨ごとに暖かくなり、お弁当を作って出かけたくなります。
先日、宮城を訪ねた際に、仙台の友人が言うことには、
「とにかく白米以上に、蕎麦の実を食べている」
「どうやって?」
「根菜の汁に加えると適度にとろみがついて旨い」
というので、そばの実をどこで購入できるかと市場を見回したら、
豆屋の三栄さんに売っていました。
早速、ご飯に炊き合わせて、オーソドックスな秋鮭と合わせてみました。
あれ、意外に素朴な味わい。
主張しすぎない上品な風味と、つぶつぶした食感は、確かに飽きないです。
脂が多すぎない秋鮭と親和性があって、良い組み合わせだと思います。